じゅぬの手帳

日記。私しかわからない。あとお題。

20240305

 3月5日の日記が書きかけで、なかなか書く時間を取れないのがずっと気がかりであった。日記を書けないというより、書く気力も失せそうな気がしたからだ。日記を書かないでいると、書きたくないのか書けないのか分からなくなった。今は日記を書けるのを嬉しく思っている。

 ホテルの仕事は好調で、二連休明けだったので急ぎながら仕事をしたのだが、ギリギリに終わった。初めから休憩は寝ると決めていたので、なかなか日記を書けそうな時間が稼げなかった。

 休憩の時間になって

「昼に用事があるのでレストランで寝てきていいですか?」

と聞いた。必ず快諾してくれるので安心してレストランで1時間半ぐらい寝た。今日の相方はいつもの人ではないが、仕事に対しては真面目な人である。

 休憩から上がって、おちおちと携帯を弄っていられる雰囲気でもなかった。

「ここつかっていいよ」

と言われたので、何のことか一瞬分からなかったが、一週間後のコンファームをしてということであった。普段は早番の人なので、ナイトの業務の全般はしない。その代わりに発注や伝票をまとめる仕事をいつもしている。

 その日は結構な量の予約が入っていたので、どうせ日記も書けないし、日記を書かないと手帳も書きたくないのでと、丁寧に時間をかけてコンファームをした。朝方、フロントでべらべらと妄言をしていると

「〇〇くんは何でも知ってるね」

と言われた。私は素直なのでそれが誉め言葉だと信じて、またべらべら妄言をしていた。視力はなぜ低下するのかとか、冷蔵庫はコンプレッサーがずっと動いているので壊れてしまうのは仕方が無いとか、そんな具合の話であった。

 11か月前に使っていた小さな手帳を家から持ってきていたので、区切りの線を書いて簡易的なメモ帳とリマインダーを作った。

 朝食を食べていくかギリギリまで迷った。家に米が無くて、昨日買ったあんバター用のパンがある。ご飯が食べたい気分で、しかも閉店までに食べなければならないので急ぐこともできる。結局、家であんバターサンドを食べることにして、朝食を食べずに帰った。

 家で渋々それを作り、余っていたバターもどきでトーストも作った。24時間以上前に作ったコーヒーを飲んだ。エアコン直下だったので腐っていてもおかしくはなかったが、捨てるのも勿体ないし、作る気も起きなかった。頭痛は起こらなかった。

 家の外で、どうやってタンクに穴をあけるか考えた。何度かカッターでタンクに穴を開けようとして、刃を折っていたが何故かまたカッターで挑戦した。あまりうまくいっている気はしなかったが、たまにサクサクと切れるのが面白くて続けていた。両手で持たないと切れないので、滑りやすいタンクを足で支えて切る。何度も刃を折って、一度自分の太ももにカッターを刺した。幸いというか、折れるので刃を少なめに出していたので深くは刺さらなかった。両手でもって本気で力を入れて切っていたら、深々と切り裂いていただろう。

 カッターの刃がそろそろ無くなろうというところでタンクを切り抜くことに成功した。そのまま、ドリルビットを無くしたのでねじ穴をあけるための簡易的な穴あけ器で穴をあけた。タンクの蓋のボルトを通す。2時間くらいかかるのを想定していたので、あっけなく終わり安心した。

 寝袋を持ってきて、車の中でパソコンで動画を見たり、寝たりした。検査の時間になったので、設計図を少し書き足して、セブンイレブンで印刷した。

 雪が降るという予報で、もし仮に雨が降ったら雨漏りがするのを見抜かれないかと不安であった。幸い、13時の検査の時間には降っていなかった。少し早く着いて書類を持っていく。昨日担当してくれた人と同じであった。書類を渡し、車で待っていた。

 またタンクを見てもらうと、排水タンクも20Lじゃないと駄目だと言った。怪訝な顔をしていた。あまりにもボロいので通したくなさそうな顔である。被害妄想ではない。私でも通したくない。

 今日はまた検査してもらえますかというと、私はいないですけど15時なら大丈夫ですと言った。もっとあからさまに落としたい人が担当したら嫌だったが、どうせならそれで落とされた方が、何度も持っていくよりも良いと思った。

 また、憤りに任せて作業をした。といっても、排水タンクを挿げ替えるだけなので大した作業ではないのだが、面倒であることに変わりはない。十分ほどで終わらせて、家で仮眠をした。

 仮眠をした後、設計図を手直しして印刷した。排水タンクを入れなおした時、排水ホースが取れてしまった。これではもし、排水の点検をすると言われたときに困るので、検査直前に、排水ホースの内側から速乾ボンドを塗りたくった。水気があったので、もし仮にそんな検査があったなら確実に落ちていた。

 保健所に持っていくと、今度はさっきよりベテランそうな、人のよさそうな女性の方が担当であった。二人の担当者を車に案内する。やはり、最初の反応を見る限りボロいと思われているようであった。今度は運転席と荷室の隙間について指摘された。他の保健所に持っていくと多分厳しく言われると思いますと言われ、かなり迷っていたようだが、とりあえず申請してくれることになった。ここで私は交渉術のようなものを使わなかったので落ちてもおかしくはなかったが、担当者に救われた。

 一週間後に、申請が通る予定ということで、凱旋の気分で帰宅した。これからどうしようかという方が頭をもたげる要因であったが、この、自分の事業を開始できるという多幸感というか、全能感とか脳内麻薬とかアドレナリンのようなものが私を満たしていた。

 久しぶりに、夕方に寝た。やや早めに起床して、コーヒーポットに弱火でつけっぱにしながら入浴した。風呂から上がると湯は丁度沸いていて、横には彼女が作った赤からの鍋があった。

 彼女も起きてきて、私が赤からの鍋を食べるのを見ていた。今まで食べた鍋料理の中でも指折りのうまさであった。

 コーヒーを鍋を食べたお椀に入れて飲んだら彼女が驚いていた。飲み物を器に入れて、皿を洗うという習慣が、コーヒーでも行われていた。私が単に寝ぼけていただけであった。

 今日は休み明けの新人に指示書を教えるので緊張していた。なんとなくその日の仕事を想像しながら出勤するのだが、休憩がまともに取れないかもしれないと心配であった。

 家を出る時に、雪が降っていた。車を入れ替えないと出れないので、彼女も家から出てきて、葉書を渡すのを思い出した。寝ぼけながら、葉書の内容を言っていたので、あまり新しいことを書いていなかったが、来月に引っ越すので荷造りをしようという内容が書かれていた。

 雪は大粒で、雨が混じっているようであった。幼少期に、雨は元々上空では雪で、地上に降る頃に雨になると教わったのを思い出した。知識としては知っていても、直感では上空から雨が降り注いでいると考えてしまう。それと同時に、雲は湾曲しているのかなどと考えた。地球が球形なので、それを覆う雲も広義には湾曲していると言えるだろうが、なら地表に立っている人間は湾曲しているかと言われれば、そんなことはないだろう。

 車を止める時、久しぶりにサイドブレーキを引いて後輪を滑らせて遊んだ。

 出勤してから、外回りをする頃には雨に変わっていた。そのことを相方に話していて、なぜ夜になるにつれて気温が下がるのに、雪が雨になるのだろうかと独り言を言った。