相方と雑務の奪い合いのようになっていた。全く殺伐としていないが、業務の少なさで、堂々と暇を持て余すための準備に躍起になっていたと言える。
0時30分頃、ようやく今できる全ての雑務を終えてスマホを弄り始めた。無印良品のアプリを開いて、ネットでショッピングをしていた。五千円以上の買い物をすると配送料が無料になるというのにつられて、五千二百円くらいの金額にして購入してしまった。カレーやコーヒー豆、スープなどを買った。以前、無印良品で豪遊をしようと思い、一万円近く使った事がある。主にカレーを大量に購入したのだが、その後数週間の生活が向上し、返って安い買い物であったと思う。今回も以前食べたカレーの中で好きなものを選んだ。
ハガキを書き初め、途中で大浴場の清掃をする時間になり、そろそろかと準備していたら、1人のお客様がフロントに来て、残り十分で入浴すると言った。了承し、ギリギリまで葉書を書いて書き終わり、女性の大浴場を清掃していたら、相方が来て自分が男子側をやると言った。了承して、事務所に戻って携帯を弄った。
風呂に入っている人は常連のお客様で、フロントでいつも話をする。訛りが強いのでなかなか会話が大変だが、憎めない性格をしている。
相方が清掃が終わって、2時30分頃に休憩に入る。それまで、日記の事を考えていなかった。4か月日記を書いていると、一日二日程度では事前の準備がなくとも書く事が出来るようになって心の余裕が生まれた。思考に言葉が追い付いてこないことが最近の悩みである。3時10分。
音楽を流しながら日記を書いていた。勉強をするときは音楽を書けないようにしているので、中々聞くことが出来ない。日記も元々は音楽を書けていると進まなかったが、段々と慣れてきて調子が良いときは日本語の歌詞の曲でも書ける時がある。この日は조성진（Seong-Jin Cho）という人のピアノ協奏曲第一番を聴いていた。その曲自体は頻繁に聴くが、全楽章を聴くことは滅多にない。気が短いので第一楽章を聴いたら別の曲に飛ばしてしまう。日記は書くのに約30分かかるので丁度良いと思った。眠かったので耳に残らず、書き終えてすぐに寝た。
寝る直前にまた再生して、起床すると、丁度曲が終わったところであった。朝の準備をして、指示書の確認をしようと思ったら、相方がもうすでに確認を始めていた。私の仕事が無くなったので簿記の勉強の続きを始めた。
工業簿記も少しずつ進んできた。しかし一か月で全て修了するにはまだまだ時間が足りなすぎる。試験対策も一切していないし、不安要素しかない。一回受けるのに五千円以上かかるので、落ちるのはリスクがある。少なくとも模試で合格する程度の実力は身に付けておきたい。フロントに立つまで、前日のように休憩を回すかと思い6時30分まで後ろで休んでから出たのだが、今日は休憩を回さないらしかった。
フロントで趣味とか子供とかの話になった。あまり話が弾まなかったので時計を何度も見ていた。ようやく引継ぎが終わり、帰宅をして、動画を見たり朝飯を食べたりして時間を浪費した。10時ごろから17時ごろまで、昨日と同じくらい寝た。
起床してとりあえず夕食の準備をした。野菜に塩を振りすぎて、ドレッシングをかけられないくらいしょっぱくなってしまった。彼女から電話がかかって来て、そういえばご飯を食べてから帰ってくると言っていたのを思い出した。彼女が食べに帰ってこようとしたので止めた。
残りの時間を動画を見て少し浪費し、風呂を洗わずに沸かした。風呂に入ってしまえば簿記の勉強を進めざるを得ないからだ。思惑通りになったのは19時になった頃で、2時間程度しか勉強が出来なかった。勉強をしている時は、自分が今できる最も有意義な時間の使い方をしている気がして多幸感がある。
風呂を出る時に掃除も済ませた。明日は出かけると彼女に話してしまったので、どういったスケジュールにするか迷う。勉強もしなければならないし、キッチンカーもいい加減に進めなければならない。風呂を出て、水を浴びるのを忘れた。ホテルで汗をかくのは嫌なので、扇風機を浴びながら動画を見た。動画を見る口実であった。
35分頃に家を出て出勤した。時間がかぶれば後ろから夜勤の人が来るかもしれないなと思って運転して、ホテルに着くと今日は出勤でないはずの夜勤の人がいて、違和感がありシフト表を確認すると勘違いをしていた。昨日と一昨日は三人で夜勤をしたので、感覚を取り戻さなければいけない。
宿泊者が130人程度しかいないので仕事も少ない。指示書を作るのが早すぎても変更する手間が発生するかもしれないので、一週間後の予約の確認や、企業集計を先に済ませた。いつもは既に来ている筈の団体がまだ来ていなかったのが懸念材料であった。同じフロアの隣接した6部屋で、来るのと来ないのとでは大幅に作り替えなければいけないからだ。
