じゅぬの手帳

日記。私しかわからない。あとお題。

20240205

 家では本当に何もしなかった。厳密にいえば、書けるようなことはしなかった。

 先日の内に、2月4日の日記を書いていた。日記をその日のうちに書くというのは、私にとっては珍しいことだった。

 夜勤の休憩の、二時半から四時半の間、いつもは日記を書く事で時間を消費できたのだが、つまらない動画や音楽を聴くのも気が引けて、以前koboに入れておいた小説の内から適当に読むことにした。ヘルシングや東京喰種などを読んでいたからか、一ページの読了時間がかなり早く設定されてしまっていて、二時間で読み終わる小説を選択したのにもかかわらず、半分しか読めなかった。読んだ小説は、朝井リョウさんの「何者」という本である。後に彼女にこの本の話を少ししたら、映画化されているようで、予告があまりにもつまらなかったから、見るのを辞めたそうである。親しい人の言うことを鵜呑みにする癖があるので、実際にそうかもしれないなと私も思ってしまった。

 映画化するのには、いささか盛り上がりに欠けるように思う。この小説を読む前に、又吉直樹さんの「火花」を読んだが、こちらは芥川賞受賞作品だという風に捉えていたので、あまり驚かなかったが、「何者」は直木賞受賞作品であると知っていたので、大衆文学として捉えようとしていただけに、肩透かしをくらった。まだ、半分しか読んでいないからかもしれない。半分しか読んでいない本を語るのは恥ずべきことかもしれないが、半分しか読んでいない状態での感想というのは、是非記録しておくべきだ。その一瞬でしか、当時の本当の感想は分からないからだ。

 私より偉い人との夜勤であった為、いつも以上に仕事を探さなければと息巻いていたが、今日はその相方もやる気があまりなかったのを感じ取って、私も肩の力を抜いて仕事をすることが出来た。要するに、手帳や手紙を書く時間を取ることが出来た。

 なんだかんだいって、2月4日の分でさえ三千文字も書いたのだ。私の文章力はめきめきと成長していっていて、これからももっと、毎日書けるように精進したい。時間さえあれば、文章に関係のある事をしていたい。

 そのような思い込みに陥るときに、戒めとして、自分の中の小言に「物語を書け」というのがある。物語を読めと言うのも近い。文章に囚われず、物語を作ったり、見たりする行為の積み重ねを毎日行うことが、文章量と並行か、それ以上に行われていなければならないという直感がある。

 一応、帰宅してからの事を書いておこうと思う。昼頃から雪が降るというのを聞いていた為、キッチンカーを進める気が完全に失せた。おそらく元々なかった。帰宅してから動画を見始めた。何度か、動画を見てはいけないと携帯を投げたが、その数秒後に携帯を見ていた。そしてついに、イヤホンをしてしまったが最後、またASMRを聞いて2時間ほど浪費した後に寝落ちをしてしまった。それから起きるのが本当に億劫になって、20時半まで寝てしまった。8時間以上寝ていたと思う。昼の仕事をしていた時では考えられないほど寝ているが、むしろ、こんなに寝ていたのに昼も働けたことの方が当時は驚きであった。

 彼女に何度か起こされて、冷凍パスタやスープを口に運ばれたが、そのたびに機嫌を悪くしてあしらったのを覚えている。

 雪が積もっているというので、早めに風呂に入らなければと思いながら、結局21時に布団を出て、適当に支度をして、家を出た。車にはいっぱいの雪が積もっていて、窓ガラスの雪を落とすのに、彼女の持っているヘラを借りた。彼女は明日歩いて出勤するから持って行っていいよと言った。このヘラを私のバイト先に持って行って、朝出ていく人に貸し出そうかと思いながら、雪の積もった路地を、余計にアクセルを踏みながら出発した。

 雪道や凍った道路では、よく車のサイドブレーキを引いたり、ニュートラルでふかしながらドライブに入れて空転させたりして遊ぶ。今日は路地の方ではかなり雪が残っていたので、ペダルをぐんと押し込むと、エンジン音が響いて、車が滑っているのが分かった。ハンドルを、右や左に思い切って回すと、車はハンドルの通りには曲がらない。私の家から少し登り坂になっている方に、曲がるタイミングでアクセルを踏む。後輪は、外周の方に滑り出して、スピンする事もなく曲がることが出来た。凍結している訳ではないので、どの程度滑るのかを、安全なところで確かめておく。

 少し開けた道に出ると、少し降っている雪がフロントガラスに付いて、視界が悪くなったが、ワイパーの周りの雪をどかしていないのでそのまま走った。私はなおハンドルを右左へと動かし、蛇行運転をしながら滑る限界を確かめて、ちょうど下り坂になった先の交差点を右折した時、後輪が大きく前方に出た。遅れてハンドルを逆側に回したので、少し膨らんだ。

 ホテルの裏口までの道は上り坂になっていて、街頭に照らされて凍結した路面が光っていた。止まったら登れないなと思い、勢いよく駆け上がった。