じゅぬの手帳

日記。私しかわからない。あとお題。

20240227

 先日は家でだらだらと過ごしてしまい無念であったから、今日こそは意味のある一日を過ごそうと意気込んでいた。もう書いたように、パソコンのキーボードが故障して気が気でいられなかった。新品は買うと何万であるし、中古を買えばまた故障するリスクがあるのだ。

 それに、業務がそこそこに滞っていたので十分に日記を書く時間を設けることが出来なかった。その憤りは退勤をする頃にはすっかりなくなっていた。

 相方とはほとんど会話しなかった。おそらく昨日ペラペラと喋りすぎてしまったからだろう。これが、私の悪癖であることは間違いがないが、直そうとしてこなかった。私の内向的な性の元凶である。

 朝食は、例によって家に炊いてあったのだが、ホイコーローがホテルの朝食にあったので、社割で食べることにした。早番の人達が、外は風が強いと言っていた。事実、ホテルの窓から髪がぐしゃぐしゃになった若い新人が見えたので、間違いがないように思われた。荷物を持って外を出ると、まともに歩けるような風ではなかった。台風である。暴風域の台風であった。外は快晴。幸い砂ぼこりも花粉も鼻腔や眼孔を刺激することはなかった。幾度となく押し戻された。ポケットに入れていた、モンスターの缶の上にねじ込んだペットボトルのコーラがポトリと落ちた。それまで眠気と眩しさで進むことが出来なかったが、風を受けて転がろうというところで目が冴えて、拾い上げて何とか自分の車に向かう。途中で出勤してきたハウスキーパーの人が私を見て笑い、窓を開けて

「すみません笑っちゃいました。でもなんかかわいくて」

と言った。まんざらでもない私はいつものようにやや仰々しく

「いえいえ、とんでもないです」

と言った。とんでもないですは口癖にした言葉の一つだ。私の上司が良く使っていた。今の車をくれた上司である。

 車に乗って、とりあえずは帰宅かという気になった。一刻も早く家から離れないといけなかったが、温泉に行くにも、パソコンのキーボードを予備のパソコンから入れ替えて検証しなければならなかったからだ。2in1のPCなのでキーボードは専用の物なのだが、馬鹿な私は同じパソコンを二台買ったので、キーボードが悪いのかPCが悪いのか容易に検証できる環境にあった。

 帰宅をしてしまって、とりあえずは服を洗濯しようと言う気が起こった。先日よりはをモットーに洗濯をし、風呂も済ませてしまった。シャワーを浴びるといつもは目が覚めるのだが、なんだか眠くなってきて、また結局10時頃に眠ってしまった。

 14時頃に電話がかかってきた。昨日送った書類の件で保健所から電話がかかってきたのだろう。出るかでないか迷い、出る気にならなかったので3コール待ったら切れた。電話で目が覚めたので、起床をして、ルイボスティーを飲もうとキッチンに向かうが、冷たいルイボスティーを飲む気になれず、かといって、温める気にもならない。温めると言う時は大抵は、新しく作ったルイボスティーを冷たいルイボスティーと割ってぬるくして飲むことにしていたからだ。シンクの中に、昨日彼女が起きた時に、小腹が空いて食べた時のお椀が残っていた。

 とりあえず家を出なければと思い、もう一つのパソコンを収納の底から引き出した。ついでに充電機も持ってきた。車の後部座席はフラットになっていて、積んでいるポータブル電源から電気を取り出すことが出来る。パソコン二台を並べて、キーボードを入れ替えた。普段使っていないPCの方は充電して、今使っているPCを入れ替えると、キーボードは反応しなかった!なんと原因はPCの方であったのである。朝方相方に

「このPCは上が本体なのでキーボードは交換できるんですよ」

と自慢げに言ったことを思い出した。PCの方が故障したら、PCを交換するしかない。それでも一縷の希望にかけて、接点復活剤を買いに出かけた。まず、ハードオフに向かった。出来るだけ余計なものを見ないように努めたが、ほとんど余計なものを見ていた。腕時計などを見ていた。接点復活材は無いようなので、カンセキに向かうとカンセキは棚卸の為に閉まっていた。近くの小さな複合施設に向かい、呉のコーナーを見たがなかった。店員に突拍子もなく接点復活剤はないですかと聞いたら、それはたぶんないですねと言っていたが、目線を向けた棚は接点復活剤とはあまり関係がないところであったので、恐らく接点復活剤のことを知らないように思われる。

 少し離れているが、コメリに向かった。コメリに向かうまでの道のりは、なんとなくで進んでいたが、近くになったころにナビを動かしたら丁度沿道であった。

 駐車場にショッピングカートが転がっていた。丁度輪留めの後ろあたりであったが、車で引いてやろうと思い、ゆっくり当てたが大きな音がしたので驚いた。なんでこんなところにあるんだという態度で、苛立ちを装いながらショッピングカートを入り口に戻した。

 呉の棚に、それはあった。呉のものではなかった。ドライとウェットがあり、1を使ってから2を使うとより効果が出るという、接点洗浄復活材と接点復活材であった。一つ1000円近くしたので、1だけを買って店を出る。早速後部座席で試した。初めのうちはあまり効果がなかったが、徐々に反応していくのを見て安心としまったという気持ちが混在した。昨日ジャンクのキーボードを衝動買いしてしまったからである。

 とりあえずは使えるようになったようだが、時間を置いてみないと分からないので、不安は残しつつ、車の奥の方に接点復活材を転がした。さて、どこで本を読もうかと思案しながら、安定のスターバックスまで戻ると私の座りたい窓際の席は人が陣取っているようだった。近づいているタイミングで、もう家に帰りたくて、スターバックスで380円出してコーヒーを飲むのが馬鹿馬鹿しく思われた。私は常日頃、このたった380円で自分の活発な部分を引き出すことが出来ると言い聞かせているというのに、この刹那の判断の瞬間には、たじろぎ、体は反対の方を向いていた。

 家に帰るわけにはいくまいと、途中で道を曲がった。図書館の方角である。しかし、図書館で借りた本を図書館で読むのか?それに、PCを使うには静かすぎる。人の邪魔になる。そんなことを考えて、ほんの少しの渋滞につかまりながら頭が冷やされていき、丁度近くの喫茶店に入ろうと言う気が起こった。以前、ここで彼女と別行動をしようと思ったとき、彼女がしり込みをして入れなかったところである。確かに小さい個人店ではあるが、PCを使ったり読書をしたり、自分の趣味をする場所であると思っているので、格別の体験が出来るカフェでない限りは、自分の趣味をしてよい場所だと捉えている。

 そもそも開店していなければ話にならないので、一度店外を通り過ぎる。窓側に二組いたのでもしかしたら寛げないかもしれないなと思った。くつろげるかどうかが判断基準であった。家でできることを外でするのだ。外で家の様に寛げるのが理想で、マクドナルドやジョイフルでは納得できなかった。

 その喫茶店に入店しようと、小路を車でぐるりとまわり、駐車場に車を止めた。車を止めてから、もしかしたら、現金しか使えないかもしれないと思った。いや、以前来た時にPayPayは使えるような気がしたが、会計でまごつくのも嫌だったので、小銭ケースから2500円程を、事業の伝票を入れるポーチにいれて、ビジネスバックを持って入店した。店内は空いていた。窓側が人気の席であったのだろう。窓側二つの席は埋まっていて、、二人掛けが三つ空いている。他にはカウンターが四席という具合であった。最も窓際の二人掛けに座った。他の二人掛けの席は、アーケードゲーム機の筐体がテーブルであった。

 窓際と言うよりは壁際の席である。壁から生えている白いバンカーズライトが、はがき二枚分くらいの絵画を、A4くらいの白い木製の立体的な額縁にいれた、小物のような絵を照らしている。

 コーヒーは400円であった。スターバックスと20円しか変わらないので安心した。他にもメニューがありますと、看板を持って寄こしてくれたが目に入らなかった。Hotコーヒーと書かれていた。それを頼みすぐにトイレに行く。あまりに狭すぎて肘が何度も壁に当たった。

 狭いと言えば、私の座っているこの席も、右側にアンティークのコーヒーミルが陣取っており、右手が窮屈であった。しかし、これがなければ間違いなく肘をついているので、店側としては良い対策なのかもしれない。

 店内はラジオが流れていた。隣の奥さんは二人で漫談をしていた。後ろで女性が本を読んでいるようであった。もしかしたら携帯を見ていただけかもしれないが、人に見られるのが嫌なので、目をやることが出来なかった。

 コーヒーが来たので、写真を撮った。メールで彼女に、仕事が終わったら来るようにと言った。来なくてもよかったが、仕事が終わったタイミングで電話がかかってくるだろうから、その時に喫茶店にいると言ったら来たいと言うだろう。断るわけにもいかず、来ないでほしいと悟られれば機嫌が悪くなるので、真逆の事を言って取り繕う。

 まずは、檸檬を開いて読むように自分に言い聞かせた。本を読むということは、生活の中でもあまり優先度が高くないので、こうして自分に命じてやらないと読み始まらない。二つ目の短編を読み終えたところに、新潮文庫の紐が挟まっており、大変難読であった苦痛を思い起こさせた。短編は20以上は入っているようである。その内の三つ目を読んでいた。顔がどんどんとにやついてきてしまうのを感じた。この癖は私が意図的に作ったものだが、こうしていると、どんな難解な本でも楽しいように感じられた。

 やはり、梶井基次郎の文章は本物だ。私小説の短編であったが、これは日記と呼んで差し支えないように思われる。多分に私の日記に影響を与えている。しかしそれ以前に、私の日記はこの本に少しは似ていた。

 辛抱ならなくなって、その短編が読み終わったタイミングでPCを取り出した。ラジオは本を読む邪魔にしかならないので、イヤホンを取り出して耳にとりあえず付けた。音楽を流すのを忘れたまま、面倒な方の案件に返信をして、私がやろうと思っていた案件の方にも返信をした。

 それから、soundcloudで適当な音楽を見繕って、外の音が聞こえないように努めて、昨日の日記に付けたしたかった事象を書いた。とりあえずここまでが現在のあらまし。

 案の定電話がかかってきたのでメールを見るように言って切った。

 彼女が来るまで、しばらくの間そわそわしていた。何度か来客があったが、その度にイヤホンを外して、違うとわかるとおもむろにイヤホンを耳に戻した。イヤホンをしていたので、電話がかかってきたことに気付くのが遅くなった。

 店の外に出て、電話に出ると彼女は着いたよと言った。店の中に入ってくれば良いのにと言って、店内に戻る。

 間違えて自分でお冷を取っていたので、テーブルの上にはたまたまお冷が二つあった。私の向かいの席に座り、私がメニューを目の前に置いた。コーヒーに400円払っていたので、何をしてもいいような気になるのは、コメダ珈琲店で働いていたからだろう。400円という金額は、決して安くはない。私が喫茶店やカフェで高い金を出してコーヒーを飲むのは、まさに400円も払ったから店を出るのがもったいないと思い込むためである。けちな自分の性格を利用しないと、家や公園ではすぐに寝てしまう。時間を浪費してしまうのだ。

 したがって、料理や高い飲み物を注文されるのは抵抗があった。正直はした金だが、見知らぬ人に400円くれと言われたらあげることはない。見返りを求めているのだ。今日はご飯を炊いてあったので、彼女にそれを伝えた。彼女は、プリンを食べたいと言った。プリンは390円、それに紅茶も飲むと言うので790円である。二日この席を貸し切りに出来る料金である。

 プリンごときをけちってはしょうがないと思い、しぶしぶ了承した。それから、この喫茶店のメニューを全部頼んだらいくらになるかなどを計算した。ざっと13800円ほどであった。私は生来のケチという訳では無い。体験とコストを常に照らし合わせているだけである。

 彼女が毛糸をどうしても買いたいと言った。家にはもう多量の毛糸があることを知っていた。物で家をあふれさせるのは精神的な病人のそれであると、口には出さないがそう思っている。私にも彼女にもその気があった。私は常に自分を戒めているが、たまにたかが外れて、同じパソコンを二台買ったり、50Lのコンテナ20個近く買ったり、210㎝の高さのスチールラックを5個も買ったりしている。人の事は言えないなと思い、しぶしぶ容認した。

 ついでに、私がコメリに行って見かけた一つ55円の毛糸の写真を見せると興味津々で、今から行くと言っては考えると言って、決心をしかねていた。その間、早く檸檬を読み進めたかったので、イヤホンを着けて自分の世界にこもっていた。

 彼女に、私はここで本を読んでいるから、毛糸を買って家に帰る時に連絡してほしいと言った。それを承知して、しばらく私が本を読んでいる間に、コメリに向かっていた。

 1時間ほど経った後、電話がかかってきた。店には私一人になっていた。彼女は、セリアに行って毛糸を大量に買ってしまったと言っていた。

 身支度をして店を出た。私が本を読んでいる間に、入ってきたときは客だと思っていた女性が、カウンターで仕事をしていた。

 どちらの店員も、私を見てあまり面白くなさそうな顔をしていたので、好かれていないことは判った。あからさまという訳でもないので特段気にしなかった。それに、私がこれから、もし何度も来店するようであれば、その表情は次第に接客顔になっていくに違いないのだ。

 PayPayで支払いを済ませ、帰宅をした。車を入れ替えようと、駐車場で少し待っていたが、まだ帰ってくる様子がないので家に入って少し待っていた。彼女が家に入ってきたので、再度駐車場に戻って車を入れ替えた。

 彼女は昨日に続きもやし炒めを作った。味が薄いと言っていたが、私も料理を結構するので言える事は、私がこの味を作ることは出来ないと言うことだった。美味いときだけ美味いと言うが、美味かった。

 ルイボスティーを作ったり飲んだりしていた。例によって新しく作った熱いものと、昨日作った冷たいルイボスティーを混ぜてぬるくしてから飲んでいた。

 20時に寝ようと思っていたが、少し話していたら20時30分になっていた。何とか寝るように自分に言い聞かせた。けたたましいアラームをつけていたので、安心して自分を深い眠りの方に誘導することが出来た。睡眠をするいくつかの方法を持っているが、どれも起床する時間を調整できないので、安心できる理由か状況がなければならない。

 けたたましいアラームとともに私の携帯のアラームが鳴った。のそりと起き上がり、近所迷惑のアラームを5分近く鳴らしたまま、着替えたり髪をセットしたりした。

 家を出る前に、ルイボスティーを飲もうとするのだが、冷たいので飲めない。丁度いいぬるさでないと飲めなくなってしまっていた。

 早めに家を出た。ホテル内では、出勤時間を遅くしようという試みが実施されていたが、それに逆行していつも通り早めに準備をして、仕事を進めていた。

 それは結果的に功を奏し、この日は少し多忙だった業務の内のいくつかを進めておくことに成功した。明日、夜勤の研修をしている新人に、指示書側の仕事を教えてほしいと言われた。人にものを教えると言うことから、生涯逃げ続けてきたツケが回ってきた。